メンタル不調に陥りやすい大学生の特性を解明!

金沢大学保健管理センターの吉川弘明教授,足立由美准教授らの研究グループは,大学生活でメンタル不調に陥りやすい学生の特性を明らかにしました。

大学生活において,メンタル不調を理由として学生相談室などの相談窓口を利用する学生の数は年々増加しており,また,大学に限らず,企業や社会全般においても,このような特性を持つ人が一定の割合で見られます。さらに,ほとんどのメンタル不調は青年期(12歳~24歳)に始まるとされた報告もあり,少子高齢化が進む現代社会においては,このような特性を持つ人がいることも考慮して,環境の整備を行っていくことが大切です。しかし,メンタル不調に陥る学生の特性を科学的に解析する研究は,これまであまりありませんでした。

本研究では,本学の学生相談室を利用した学生と,学生相談室や外部のメンタルクリニックなどの医療機関の利用経験がない学生との比較研究を行いました。その結果,学生相談室を利用する学生(全学生の4%ほど)は,1)正常範囲ではあるが,ワーキングメモリー(※1)の指標が小さい,2) 特に男性において,自閉スペクトラム障害の特性が高い,3) レジリエンス(※2)が弱い,4) 性格的に不安特性が高い,5) 男女ともに,社会生活におけるクオリティーオブライフ(QOL)を感じにくい,6) 男性においては,メンタルヘルスにおけるQOLが低い,7) 自律神経機能における交感神経の緊張が常に高いことが分かりました。また,男性と女性の特性の差も明らかになりました。

これらの知見は,メンタル不調に陥りやすい学生への教育指導において活用されることが期待されます。

本研究成果は,2020年8月21日午後2時(米国東部標準時間)に米国科学誌『PLOS ONE』に掲載されました。


【用語解説】
※1 ワーキングメモリー
作業をするために必要な記憶を一定期間保持する機能のこと。

※2 レジリエンス
ストレスなどの外的圧力を跳ね返す力と逆境や困難に負けることなく外的環境に順応していく力などを指す言葉。

 

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PLOS ONE

研究者情報:吉川 弘明

研究者情報:足立 由美